心の傷、トラウマでずっと生き辛い…。という方は以外と多いと思っています。表面上明るく見えたとしてもです。
自らの手でその生涯を閉じた人が毎年2万人もいるという事実を見ても異常ですし、みんな生きづらいと感じている。
そして、そのことに対して本質的な解決ができていない。
また、心に傷を受けているにもかかわらず、それをなかったことにして誤魔化しいている場合も多く見受けられるように思えます。
ここでは、「心の傷はなぜ癒えないのか?」「心の傷の癒やし方」などについて、考えてみたいと思います。
心の傷とは何か?
まず、心の傷を負わない人はいるのでしょうか?
いないと思います。
もちろん、心の傷には強弱があります。
強烈な体験をしてしまった人は、常にその体験を思い出し、追体験するかもしれません。更に耐えられなくなった場合は、記憶すらなくし、無意識にその記憶をなかったことにします。
その記憶を本人は忘れたつもりになっていますが、無意識では覚えているので、なぜか人を避けたり。人を恐れたりしてしまいます。
また、細かい心の傷では、日々生活するなかで毎日傷を負っています。
比較され傷つき、基準をクリアできないことに傷つき、常識的に生きられない自分を自分が恥じてみたりと、日々自分自身で自分を傷つけたり、他人から傷つけられています。
心の傷を麻痺させている人
心が麻痺してしまった人は、このような日々の傷に鈍感になっています。傷つけられることに麻痺してしまっているのです。
心が麻痺してしまった人は、幼少期にどうしようもない出来事が重なり、苦しくて辛くて、感じない選択をしている可能性が高いです。
ずっと苦しみや心の傷をなかったことにしています。
そして、この傷つけられることに麻痺してしまった人は、平気で人を傷つけることができます。
ここが、心を麻痺させている人の大きな特徴です。
心の傷が癒えない原因は?
心の傷が癒えない原因は、この麻痺にあります。
幼少期に辛く苦しい経験があったため本当の心を自分の心の奥にしまいこみました。
本当の心をしまいこんだままだと、他人や親など外界とコミュニケーションがとれないので、適応する人格をつくります。
それを適応人格とも言えますし、仮面を演じる「ペルソナ」とも言えます。
適応人格は、傷ついた心を守るために存在し、傷をなかったものにします。
適応人格は成長するにつれ、人それぞれ違う形態をとり始めます。
- ヘラヘラ笑ってごまかす様になったり、
- 俺は凄い!と強がってみたり、
- 理論武装したり、
どの形態も、本質は1つです、自分の傷ついた心を守るためにやっています。
この適応人格がいる限り、本当の傷ついた心が出てこないので、心が癒えないのです。
そして、自分の本当の傷ついた心が出てこない限り、自分の人生の主導権はこの適応人格が握り続けます。つまり、生まれてから死ぬまで本当の自分ではなく、適応人格で生きることになるのです。
生まれてから死ぬまで偽りの人生。これはかなり恐ろしいことです。
この適応人格は、生き延びることが大事です。もう二度と本当の心を傷つかせたくないのです。だから、自分の傷ついたこころを閉じ込めておきたがります。
しかし、それをしているかぎり、傷はずっと傷のまま癒えることはないのです。
適応人格(ペルソナ)のずる賢さ
この適応人格はかなりずる賢いです。自分のほんとうの心が傷つきそうになると嘘を平気でいいますし、自分は弱者で被害者であると主張したりもします。
常に、自分を守ろうと正当化するのです。
正当化していないと、過去の傷ついて隠した心が表に出てきてしまうので、必死に正当化します。
これは生きるか死ぬかの問題だったりするのです。それほどまでに、過去の傷を思い出したくない。表面に出したくないのです。
しかし、それをやっていると周りの人は当然ながら離れていきます。どんどん人生が苦しくなっていきます。
心の傷が癒やされないのは、心の傷と向き合わないから
ここで、結論を言いますね。
心の傷が癒やされないのは、心の傷と向き合わないからです。
トラウマや心の傷を原因にして、自分が惨めな原因は親にある。環境にある。など、被害者意識を嘆いているのは先程説明した「適応人格」です。
適応人格は心の傷に向き合いたくないのです。心の傷に向き合うことを避けるために、被害者になるのです。適応人格のそもそもの目的が本当の自分、心の傷を守るために生まれたものなので。
本当の自分がそう叫んでいるようにみえますが、本質は適応人格なのです。
本当の自分は、寂しい。苦しい。助けてよ。なんで愛してくれないの。という声が主です。
適応人格にとって、本当の自分の叫びは表面上に上がらせたくない弱音なので、「(寂しいのは)アイツのせいだ!アイツが悪い!人間など信用できない!」などの怒り等として外側に表出します。
この適応人格が、麻痺まで進んでいる場合は、この段階にすら至りません。この適応人格をなんとか沈めないと、本当の自分が窒息してしまいます。
適応人格の段階
地層をイメージして下さい。
- 第一層が、傷つきやすい心、子供心の純粋さ、本当の自分
- 第二層が、傷ついた心を守る適応人格の層
- 第三層以上は、適応人格がさらに変形して、麻痺人格になっていたり、良い子人格になっていたり様々な出方をしています。どのくらい適応人格をこじらせているかで強弱はあります。
第三層の麻痺が進んだ人格の場合は、日常的に傷を受けているのですが、傷を受けていることすら気づきません。感受性がないのです。感情が常にフラットで、生きているのか死んでいるのかわからない状態です。
心の傷を癒やすには、このプロセスを逆転させる必要があります。