いよいよ定年が70歳に引き上げられることになりそうです。
現在の継続雇用年齢の上限は65歳です。
この上限の65歳というのは「高年齢者雇用安定法」で決められている年齢です。
その「高年齢者雇用安定法」を改正し、継続雇用年齢を延長し70歳にすると明言しているので、確実に定年は70歳になると思います。
そこでここでは、
- 定年70歳に引き上げはいつから
- なぜ、定年70歳に引き上げるのか?
- 定年70歳に引き上げのメリット・デメリットは?
について、わかりやすくまとめてみました。
定年70歳に引き上げはいつから
「定年が70歳に延長されるのはいつになるのか?」、まずは政府が考えている定年引き上げまでの流れを見てみましょう!
準備1:企業に対する補助金
2019年から高齢者を中途採用した企業に補助金を出します。
政府は補助金を出すことで、高齢者を雇いたがらない企業にも高齢者を雇ってもらうようにします。
準備2:高齢者雇用安定法の改正
企業が高齢者を採用する土台を作った後に、「高齢者雇用安定法」を改正し、働ける年齢を65歳から70歳に引き上げます。
【高齢者雇用安定法とは】
高年齢者雇用安定法は、簡単に言うと「継続雇用年齢として65歳までは働ける」ように会社に義務付けている法律です。
その高齢者雇用安定法を改正し、雇用年齢を70歳まで働けるように義務付けるということですね。
準備3:年金制度の見直し
公的年金の受け取り開始年齢を70歳以降にすることも可能にする制度を作ります。
そして、70歳以降に年金をもらえるような選択した人は、月々の受給額を増やすという内容のようです。
定年引き上げまでの流れ【まとめ】
- 2019年、企業への補助金で高齢者の採用を促す
- その後、高齢者雇用安定法を改正し70歳まで働けるようにする
- 年金制度も改正し、70歳から年金を受け取ったほうがお得にする
という流れを取ることで、定年が70歳になるように政府は誘導したいわけです。
以上の流れを取ると思われるので、
定年が70歳に引き上げられるのは、2020年〜2022年までには定年が70歳に引き上げられる
と、予想されます。
なぜ、定年70歳に引き上げるのか?
定年を70歳に引き上げられて嬉しい人もいれば、なんか嫌だなあと感じる人もいると思います。
定年を70歳に引き上げる最も大きな理由は、今後日本に訪れる人口減少社会による、働き手の減少です。
こちらのグラフを見ると一目瞭然です。
- 2100年には、日本の人口は明治時代の人口に逆戻り
- 2025年には、4人に1人が高齢者
- 2050年には、3人に1人が高齢者
- いずれは若者1人が1人の高齢者を支えるところまで行き着きます
今後、日本の未来には、「人口減少」と「超高齢化社会」がやって来るため、なんとか高齢者に働いてもらいたいという理由があるのです。
2018年の現在は人材が足りない時代ですが、シンギュラリティが起こると予想される2045年頃にはAI(人工知能)の発達で、逆に大量失業時代がやってくると予想されます。
定年を70歳に引き上げる理由は?
理由1:高齢者にも働いてもらって、日本の経済成長を支えてもらいたい
理由2:高齢者が働くことで、年金制度を維持したい
理由3:日本の企業が好景気になり、経済成長すれば、日本の税収が増える
理由4:政治家や官僚は、現状の既得権益を守りたい
理由5:高齢者も生活のために、働かざる負えない
などがあります。
(政府は「シンガポール」を手本として経済成長路線を推し進めているが、個人的には日本が今後経済成長することはありえないと思っている)
年金だけでは生活できない
今の高齢者はまだ年金だけで生活できます。
しかし、これからの年金受給者は、年金支給額が下げられ年金だけでは生活ができない。もしくは生活が苦しくなることが予想されます。
仕事を辞めた後に、必要になる貯金は3,000万円という話もよくされますよね。
高齢者も将来の不安があるので、65歳で定年ではなく、働き続けたいというのが本音なのです。
右肩上がりの経済成長を前提に作られた年金制度はどこかで大改革しない限り、もちません。
定年70歳に引き上げのメリットは?
メリット1:人材不足解消
人材不足の企業にとっては、補助金をもらって人を雇えるので嬉しい。
ただし、人材不足の企業はブラック企業率が高いので、高齢者が働けるのか?というミスマッチ問題がある。
メリット2:生活のために働かなくてはならない
今の団塊の世代の高齢者は年金が十分にもらえるため、働かなくても生活ができます。
しかし、団塊の世代以後は、どんどん毎月の年金支給額は減っていきます。
年金だけでは生活ができないので、高齢者になっても生きるために働かなくてはなりません。
また、高齢者になっても積極的に働きたい!という方には、メリット。
メリット3:高齢者の知識や技術
これは特に職人の世界、農業や漁業など第一次産業ではかなりのメリットになりそうです。
定年70歳に引き上げのデメリットは?
デメリット1:低賃金労働
定年が引き上げられても、高齢者の賃金が大幅に下る場合はやはり多いです。
高齢者を雇う補助金目当ての会社が現れそうな予感も…。
デメリット2:若者の賃金も下がる可能性
「高齢者を雇う・定年を延長する」ということは、会社全体としては人が今以上に増えるわけです。
しかし、会社は人は雇っても人件費の総額は抑えたい。
そこで、全体の社員の賃金は上がらず、むしろ低下する場合も考えられます。
デメリット3:会社の新陳代謝が悪くなる
定年が長引けば、高齢者のポストがいつまでも空かない。会社として人材が入れ替わらない可能性が出てくる。
デメリット4:若年層の採用数が低下する
若者の給料は全体的に低下し、高齢者を雇うことで、若者を採用しないケースも出てくる。
まとめ
資本主義社会の多くの企業が考えることは、
- 人件費を下げて
- 原価を下げて
- 人員がいらないような効率化を図り
- 最大限の利益を上げ
- 上層部の人間だけが富を得る
という世界です。
そこには「お金の損得」を中心とした世界観があるわけです。
国は定年を70歳に引き上げると言っても、やるかどうかはその会社・企業次第です。
国が決めた制度に企業側のメリットがあれば従うし、デメリットであれば従いません。
このような問題は、最終的に企業倫理に行き着きます。定年が70歳になってどんな世界がやってくるのか、気になりますね。