これから来る高給の職業として「胚培養士(生殖補助医療)」が話題です。
胚培養士の読み方は、「はいばいようし」です。英語では「エンブリオロジスト」とも言われています。
最近は不妊治療が増え、体外受精をする人も増えていて、ますます需要が高まっている仕事です。
しかし、「胚培養士って何?」「どんな仕事内容なの?」と知らない人のほうが多いのではないでしょうか。
そこでここでは、
- 胚培養士とは
- 胚培養士の仕事内容
- 胚培養士の給料や年収と将来性
- 胚培養士になるには
- 胚培養士認定資格と養成機関
など、について、わかりやすくまとめてみました。
胚培養士とは
胚培養士とは、医師の指導の下で「人工授精などの体外受精に関わる医療」を行う技術者のことです。
そのため、母体や胎児に対して医療行為を行うことはできません。
胚培養士の仕事イメージは、「理科室で実験している人」をイメージするとわかりやすいかもしれません。
以前は、この業務を医師や産婦人科医が兼任して行っていましたが、不妊治療の一環で「体外受精」を希望する人が多くなり、胚培養士などの専門の技術者が行うようになりました。
胚培養士の仕事内容
胚培養士の主な仕事内容は、「体外での精子と卵子の取り扱い」です。
行うことは、
- 精子や卵子の取り出し
- 精子の選別
- 精子や卵子の培養
- 培養液の管理
- 顕微鏡を使っての精子と卵子の受精=顕微受精
- 受精確認=卵子が受精して胚に成長しているか
- 成長した胚の冷凍保存
- 胚を不妊治療者の体内に戻すため冷凍した胚を融解させる
などが、一連の流れになります。
ここから先の「胚を体内に入れる作業」からは医師が担当します。
生命誕生の、精子や卵子と向き合う仕事と言えそうです。
最初の命を生む仕事と言えるので、高い技術もそうですが、高い倫理観が必要とされる仕事のようですね!
胚培養士の将来性
日本産科婦人科学会の統計で、2015年に行われた不妊治療の一環としての「体外受精」は42万件以上です。
また、2015年に体外受精で生まれた出生児は5万人以上となっています。
これは想像以上に多い数字です。
また、1回の体外受精費用は1件40〜60万円なので、市場規模としては2,000億円以上!
また、今後体外受精の件数は右肩上がりに増えることが予想されているので、今後10年〜20年は成長産業とも言えそうです。
ただし、それ以降になると不安要素が多いです。
【胚培養士将来の不安要素】
- 日本の経済状況が子供が持てるほど裕福ではなくなって来ている=貧困問題
- 現役世代の未婚率の増加
- 若い世代で子供が欲しいという欲求の低下
- 胚培養士の仕事内容が、AI(人工知能)に置き換えられやすい
などが、不安要素として考えられます。
胚培養士の年収
2018年現在は、不妊治療の需要が高く、胚培養士が足りないということで、レベルの高い胚培養士は2,000万円という話があります。
ただし、それは一部だけを取り上げた話です。
どんな業界でもそうですが、年収は受容と供給の関係で決まります。
- 不妊治療の需要が高く、担当できる胚培養士の数が足りなければ、年収は高くなり
- 不妊治療の需要が低く、担当できる胚培養士の数が多すぎれば、年収は低くなる
弁護士もかつては花形でしたが、今は弁護士が多すぎることと一緒です。
つまり、今の好景気だけを見てはいけないということです。
胚培養士の求人の給料見ると、
- 初任給は18万〜20万円
- 経験者になると、25万円〜35万円
- 上級の経験者で40万円〜
となっています。
胚培養士の年収は、年収350万円~600万円
つまり、年収2,000万円の胚培養士は、主任格のかなりレアな人だと考えておいたほうが良いと思います。
胚培養士になるには
胚培養士になる方法なのですが、
現状、胚培養士の国家資格はありません。
という流れは存在しません。
現在、胚培養士として仕事ができる人の条件は以下になります。
- 臨床検査技師や看護師
- 大学の医学部や農学部・獣医畜産学部などを卒業し、胚培養士の受験資格を持つ
- 日本卵子学会「生殖補助医療胚培養士」有資格者
- 日本臨床エンブリオロジスト学会「認定臨床エンブリオロジスト」有資格者
などです。
胚培養士になっている人で多いのは、臨床検査技師や大学の農学部だった人のようです。
理由は、単純に給料や待遇がいいからそちらへ流れているためと考えられます。
胚培養士認定資格とは
胚培養士の資格は国家資格ではなく、現在は民間資格のみ!
- 一般社団法人日本卵子学会「生殖補助医療胚培養士」
- 一般社団法人日本臨床エンブリオロジスト学会「認定臨床エンブリオロジスト」
という、2つの学会が胚培養士の認定資格を出しています。
どちらも試験は年1回。
胚培養士の資格は、5年毎の更新制度となっています。
これらの資格を持っていれば、不妊治療専門の医療機関に胚培養士として働くことが有利になるのは間違いありませんが、受験資格のハードルも高いです。
受験資格はそれぞれの団体HPを参考にしてくださいね!
注意点として、
胚培養士になるために、これらの学会が出す認定資格が必ず必要な訳ではありません。
受験する人は、胚培養士としてのキャリアアップや胚培養士のリーダーを目指している方が多いとのこと。
試験はかなり難しいと言われているので、まだこれらの資格を持っている人は少なそうですね。
胚培養士の養成機関
- 岡山大学「生殖補助医療技術キャリア養成特別コース」
- 国際医療福祉大学大学院保健医療学専攻「生殖補助医療胚培養分野」
など少ないですが、胚培養士の養成機関があります。
今後は更に増えることが予想されています。
これらを卒業すると、
- 日本卵子学会「生殖補助医療胚培養士」
- 日本臨床エンブリオロジスト学会「認定臨床エンブリオロジスト」
の受験資格が得られます。
あくまで受験資格が得られるだけで、その後は働きながら資格取得を目指すケースが多いようです。
まとめ
胚培養士は、命を預かる大切な仕事です。
そこには、高い技術力と高い倫理観が求められます。
胚培養士はこらから始まっていく職種とも言えるので、全国共通のマニュアルもなく、胚培養士個人の資質がかなり問われそうです。
基本的には裏方仕事で、他人から見えないからこそ、自分を律することが大切な仕事のような気がしますね!