夏になると「OS-1」など経口補水液のCMをよく見ますよね。
飲む点滴とも言われる経口補水液は、夏の脱水症対策として最適と聞いたことがある方もおおいのではないでしょうか。
でもこんな疑問は持っていませんか?
- スポーツドリンクと経口補水液って何が違うの?
- スポーツドリンクも水分補給に最適って聞いた気がする
- 経口補水液ってなんで「飲む点滴」って言われるの?
- 経口補水液っておいしい…?
そこで、ここでは「経口補水液の特徴」「スポーツドリンクと経口補水液の違い」「脱水時に適しているのはどちらか」「飲む点滴と言われる理由」「美味しさ」などについてまとめてみました。
経口補水液とは
経口補水液とは、水分を素早く身体に吸収することのできる飲み物です。
特に脱水症を起こしたときに最適な飲み物となっています。
脱水症とは、体に欠かすことのできない体液(水分と電解質)が失われた状態です。
夏の暑い時期に大量に汗をかいたり、おう吐や下痢などで体内の水分が失われることで脱水症を引き起こします。
脱水症で体外に排出される体液には、水分だけでなく生命を維持するのに欠かすことができない電解質が含まれています。
水分と電解質が失われると以下のような症状が現れます。
【水分が失われると現れる症状】
- 血液の量が減り、血圧が下がる
- 肝臓や消化器など臓器への血流低下⇒臓器の機能低下
- 脳への血液低下⇒集中力の低下
- 消化管の血流低下⇒食欲不振 など
【電解質が失われると現れる症状】
- 体液の浸透圧が維持できない(濃い・薄いを調整する)
- 神経や筋肉に悪影響が出る
- 脚がつる
- しびれや脱力が起こる など
ちょっと難しく書きましたが、簡単に言ってしまえば脱水症はとっても危険ということです。
真夏のニュースでもよく報道されていますよね。
「熱中症で○人が病院へ搬送。そのうち○人は意識不明の重体。○人が死亡…」など。
熱中症は暑さが原因で起こる脱水症の一種です。
経口補水液は、脱水性を起こしたカラダの水分補給に一番適した割合で作られた飲み物です。病院で脱水症の治療は主に点滴で行われますが、点滴の代わりに口から取るため「飲む点滴」とも言われているのです。
身体への吸収をいかにすばやく行えるかを一番に考えられている「経口補水液」は基本的な成分は以下の範囲になっています。
- ブドウ糖:ナトリウムと同量以上、ただし111 mmol/Lを超えてはならない
- ナトリウム:60-90 mEq/L
- カリウム:15-25 mEq/L
- クエン酸:8-12 mmol/L
- 塩素:50-80 mEq/L
経口補水液は、大塚製薬の「OS-1(オーエスワン)」基本的に治療に使われるものなのでコンビニやスーパーで買うことはできません。
購入するにはドラッグストアや病院の売店など「登録販売者」など専門家がいるところに限られています。
猛暑が続く夏や風邪が流行る季節など、脱水症対策として常備しておきたいな…という方はAmazonや楽天などでも購入できるのでストックしておいても良いかもしれません。
【日本薬剤の「経口補水液」】
【大塚製薬の「OS-1」】
自宅で作る「経口補水液」
でも、ストックはないけど緊急で必要!ということもありますよね。
そんな時は経口補水液を自分で作ることもできます。
作り方はいくつかありますが、自宅にあるものでできるレシピをひとつご紹介しますね。
経口補水液レシピ
【材料】
- 水:1リットル
- 砂糖:30グラム
- 塩:3グラム
- レモン:適量
【作り方】
全ての材料を混ぜる
経口補水液は自宅で簡単に作ることができますが、どうしても雑菌が入ってしまいます。自作の補水液は作ったその日のうちには飲み切るようにしてくださいね。
経口補水液とは、水や塩分などの電解質と糖をバランスよく配合させ体内に吸収しやすくした飲み物。
経口補水液とスポーツ飲料の違い
経口補水液とスポーツ飲料はそもそも使用目的や成分の含有量が違います。
経口補水液とスポーツ飲料が作られた目的は…
- 経口補水液⇒医学的知見から配合設計された飲料
- スポーツ飲料⇒日常生活の中で発汗などにより失われる水分と電解質を速やかに補給する飲料
です。
スポーツ飲料は「清涼飲料水」
実は、スポーツ飲料の吸収率は経口補水液の1/3程度。
スポーツ時の水分補給や日常生活の発汗には良いですが、急を要する脱水時の補水には不十分です。
スポーツ飲料はあくまでも「清涼飲料水」と考えておくのが無難です。
経口補水液が「飲む点滴」といわれる理由
一方、経口補水液はWHO(世界保健機関)の提唱する経口補水療法の考え方に基づいた飲料です。
経口補水液は、もともと点滴を行えない発展途上国でコレラになどの下痢による脱水症の治療・改善のために開発された飲料です。
開発された経緯も脱水症の治療・改善なので、当然かもしれませんが脱水時には経口補水液がおすすめです。
経口補水療法は、脱水症の際に用いられる点滴を口から摂取するという考え方です。点滴したときと同様の効果があるため「飲む点滴」とも言われているのです。
経口補水液は飲み過ぎ注意
「飲む点滴」である経口補水液は脱水状態の身体に適した「病者用食品」です。
スポーツ飲料などと比べると
- 塩分が多い(スポーツ飲料の倍以上)
- カリウム・ナトリウムが多い
- 薬と一緒に飲むのはNG
- 他の飲料と混ぜない
など、気をつける点がたくさんあります。
塩分が多く含まれているということは、脱水になっていない人が大量に飲むと塩分のとりすぎになるということです。
身体に良さそうだからと言ってがぶ飲みするのは絶対にNGです。
- 健康な状態の時の水分補給は「スポーツ飲料」
- 熱中症や下痢や発熱などの脱水状態の水分補給は「経口補水液」
味でおいしいのはどっち
飲んで美味しい!と感じるのはスポーツ飲料です。
経口補水液は、健康な状態で飲んでも美味しくありません。
脱水症の治療・改善のために作られた経口補水液は「しょっぱい…」と感じる場合が多く、そんなに美味しいものではありません。
美味しくないものを消費者はあえて購入したいとは思いませんよね。そこで飲みやすさを重視するためにスポーツ飲料は砂糖(炭水化物)などを多く加えています。
参考までにポカリスエットとOS-1の成分等を比較してみました。
ポカリスエットとOS-1比較表
ポカリスエット (100mL中) |
OS-1 (100mL中) |
|
---|---|---|
エネルギー | 25kcal | 10kcal |
炭水化物 | 6.2g | 2.5g |
ナトリウム | 49mg | 115mg |
味 | 美味しい | 美味しくない |
吸収の速さ | 普通 | 速い |
利用シーン | 日常生活 スポーツ中 |
過度の発汗や脱水 下痢・嘔吐・発熱 |
ポカリスエットなどのスポーツ飲料は、普段のどが渇いたときに飲んでもおいしいですよね。
一方、OS-1などの経口補水液は普段は美味しく感じませんが、脱水状態の場合は美味しく感じます。
「経口補水液がおいしい!」と感じたら、脱水状態の可能性があります。
ちなみに「OS-1」でよく知られる経口補水液ですが、実は様々な会社が販売しています。メジャーなところでいうと…
【①大塚製薬の「OS-1」】
【②日本薬剤の「経口補水液」】
【③味の素の「アクアソリタ」】
【④明治の「アクアサポート」】
の4種類です。
また、タイプも
- ペットボトル
- ゼリー
- 粉末
があります。
販売会社によって微妙に味が違うので、いろいろ試してお気に入りを見つけて常備して置くことをおすすめします。
スポーツドリンクの賞味期限について興味がある方はこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
まとめ
経口補水液とスポーツ飲料は似ているようでも用途が違います。
脱水状態でおすすめなのは「経口補水液」です。
スポーツ飲料よりも身体への水分吸収率が断然速く、病院での治療でも使用されています。
暑い夏の熱中症対策として、また体調不良時の水分補給に備えて経口補水液を常備しておくと安心です。
とくに脱水症を起こしやすい乳幼児や高齢者がいる家庭では、いつでも飲めるようにストックしておくことは必須かもしれません。
「病者用食品」である経口補水液は、ドラッグストアや調剤薬局でも買えますが、セットで買ってストックしておきたい方はAmazonや楽天といった通販がおすすめです。