細菌が繁殖しやすい梅雨~夏の時期は、食中毒に要注意です。
食中毒は50年以上に渡って毎年25,000人以上の患者が発生し、重篤な場合は命の危険を伴うこともあります。
夏は特に飲食店や学校での集団食中毒のニュースが流れますが、実は家庭内での食中毒も発生しています。
でも、食中毒について意外と知らないことも多いですよね。
- 食あたりと食中毒って何か違うの?
- 食後何時間後に発症するのか知りたい
- どのような症状がある?
- 治し方や予防方法を教えてほしい
このような疑問をお持ちの方も多いかと思います。
そこで、ここでは食あたりと食中毒に関して疑問に感じる点についてまとめてみました。
食あたりと食中毒の違い
医学用語としては「食中毒」が用いられますが、食あたりと食中毒は同じ意味です。
食中毒は原因によって症状・発症までの期間は様々で、重い場合は命に関わることもあります。
食中毒(食あたり)の原因
食中毒にかかる人が多いのは細菌が繁殖しやすい6月~9月。
湿度や気温が高い季節が一番多いです。
食中毒の原因には種類があり、主に以下の5つに分類されます。
- 細菌性食中毒
- ウイルス性食中毒
- 化学性食中毒
- 自然毒食中毒
- 寄生虫性食中毒
比較的多く発症する食中毒は「細菌性食中毒」「ウイルス性食中毒」の2種類です。
細菌性食中毒
細菌性食中毒は細菌等が付着した食品を食べることで感染します。
細菌性食中毒で起こしやすいのは「感染型」「毒素型」の2種類あります。
細菌性食中毒【感染型】 | 細菌が体内で増えることによって食中毒を起こす |
---|---|
【主な原因】サルモネラ・カンピロバクター・腸管出血性大腸菌(O-157)など | |
細菌性食中毒【毒素型】 | 細菌が食品の中で毒素が作られ食中毒を起こす |
【主な原因】黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌 |
サルモネラやO- 157は聞いたことがある方がほとんどですよね。
ウイルス性食中毒
ウイルス性食中毒はウイルスが付着している食品を食べたり、ヒトからヒトに感染します。
ウイルス性食中毒 | ウイルスに汚染している飲食物の摂取や感染したヒトの手指などを介して食品に付着することで食中毒を起こす |
---|---|
【主な原因】ノロウイルス・A型肝炎ウイルスなど |
ウイルス性食中毒の大部分はノロウイルスとなっています。
その他の食中毒
自然毒食中毒 | 動物や植物が本来持っている有毒成分を食べることで起こる食中毒 |
---|---|
【主な原因】トリカブト・ジャガイモ・毒キノコ・フグ・貝など | |
化学性食中毒 | 化学物質が食品内で生成されたり外部から混入したもの方以内に入ることで起こる食中毒 |
【主な原因】洗剤、漂白剤・農薬・食品添加物・水銀、鉛など | |
寄生虫食中毒 | 肉や魚、生水に寄生している虫を食べることによって起こる食中毒 |
【主な原因】アニサキス・クリプトスポリジウムなど |
食中毒の中でも60%を占めるのが細菌性食中毒、次いでウイルス性食中毒が約30%の割合で発生しています。
症状と潜伏期間
実際に食べてからどれくらいの期間で発症するのか気になりますよね。そこで主な食中毒の症状や潜伏期間をまとめてみました。
細菌性食中毒
サルモネラ
- 【主な原因】鶏卵・食肉(主に鶏)・魚介類・野菜などを原料とした食品
- 【潜伏期間】6~48時間
- 【症状】腹痛・嘔吐・吐き気・悪心・寒気・頭痛・下痢
サルモネラ菌の原因となる食品は主に卵ですが、鶏の他にも牛や豚、猫や犬などの腸にいる細菌です。菌が付着した食べ物を食べると半日~2日ほどで激しい腹痛などに襲われます。
カンピロバクター
- 【主な原因】食肉・生乳・魚介類・水
- 【潜伏期間】2~5日
- 【症状】腹痛・水のような下痢・嘔吐・吐き気・発熱・寒気・頭痛
牛や豚、犬や猫などの腸の中にいる細菌です。細菌が付着した肉を生や加熱が不十分なまま食べると発症します。
腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)
- 【主な原因】食肉・食肉加工品・生乳・野菜・サラダ類・水
- 【潜伏期間】3~8日
- 【症状】激しい腹痛・水溶性の下痢(血液が混ざることもある)
牛や豚など家畜の腸の中にいる病原大腸菌のひとつです。細菌が付着した肉を生や加熱が不十分なまま食べると発症し、腹痛や水のような下痢、出血性の下痢を引き起こします。
乳幼児や高齢者は重症化すると命に関わるので注意が必要です。
黄色ブドウ球菌
- 【主な原因】米飯・サンドイッチ・麺類・生乳・食肉・乳製品
- 【潜伏期間】1~6時間
- 【症状】腹痛・嘔吐・吐き気・下痢・疲労感
ブドウ球菌は自然界にも広く存在し、ヒトにも存在しています。傷のある手で食品を触ると汚染する確率が高くなります。汚染した食品の中で増殖する菌は毒性が強く熱や乾燥にも強いという特徴があります。
ウェルシュ菌
- 【主な原因】食肉加工品(カレー・シチューなど)、肉汁
- 【潜伏期間】8~22時間
- 【症状】腹痛・吐き気・下痢
カレーやシチュー、煮魚、麺のつけ汁、野菜煮付けなどの煮込み料理が原因食品となることが多い食中毒です。食後6~18時間で発症することが多く主な症状は下痢と腹痛です。
ウイルス性食中毒
ノロウイルス
- 【主な原因】カキ・アサリなどの2枚貝・井戸水・二次汚染された食品
- 【潜伏期間】24~48時間
- 【症状】嘔吐・吐き気・腹痛・発熱・下痢・頭痛・咽頭痛
ウイルスに汚染された井戸水や食品を十分に加熱しないまま食べるなどで感染します。また、ノロウイルスに感染した人の手やつば、便、おう吐物などを介して二次感染することもあります。
対処法や治し方
実際に食中毒の症状が出るとかなり苦しいです。「お腹が痛い…」どころの話ではありません。
症状が軽い場合は自分で対処することができますが場合によってはすぐに病院での処置が必要なケースもあります。
病院での処置が必要なケース
まず、以下に当てはまる場合は早急に病院行って適切な処置を行ってもらうようにしてください。
【すぐに病院へ行くべき症状】
- 吐血
- 血便
- 呼吸困難
- おう吐・下痢が止まらない
- 意識が遠くなる
- キノコ・フグなど毒性食品の摂取
食中毒は激しい嘔吐を繰り返すことで食道が避け吐血したり、嘔吐や下痢が止まらないこといよる脱水などを起こすケースも多いです。
食中毒は命にかかわるものなので上記の症状がみられる場合はすぐに受診するようにしましょう。
自宅でできる対処法
食中毒を発症しても症状が軽い場合は自宅で対処することができます。
【対処法】
- 水分の摂取(経口補水液がおすすめ)
- 嘔吐の場合の体制は横向き
- 食事を控える。下痢止めはNG
- 安静にする
水分の摂取
食中毒の症状に多いおう吐や下痢は脱水症状を起こしやすいためこまめな水分補給は必須です。
特におう吐がある場合は飲み物も取らなくなりがちですよね。
ですが、おう吐や下痢は体内の水分を排出し続け、さらにナトリウムやカリウムも失われるので脱水症状の危険がとても高くなります。
脱水を防止するためにも、水分摂取は重要です。
ただの水やお茶は白湯は体内に吸収されにくいです。摂取する際は、ナトリウムやマグネシウム、電解質がバランスよ配合され体内に吸収しやすい水「経口補水液」がおすすめです。
【大塚製薬のOS-1】
【詳しくはこちらの記事】
おう吐がある場合は「横向き」
おう吐がひどい場合は吐瀉物で窒息しないよう寝る体制は「横向き」です。
あお向けの体制は、吐いたもので気道をふさぎ窒息する危険が高まります。
また、呼吸も横向きの方がの負担が少なく楽にできます。
食事を控える。下痢止めはNG
腸を休ませるために食事を控え、どうしても食べたい場合は消化に良いものを摂取するようにします。
下痢がひどくても下痢止めを使用するのは絶対にやめましょう。
下痢は、体に害となる物質を排出するために起こります。下痢止めで強制的に腸の動きを止めてしまうと毒素が体内に留まり症状が悪化する可能性があります。
安静にする
症状が落ち着くまで、水分をこまめに取りつつとにかく安静にしていましょう。
身体をゆっくり休ませ体力を回復させることが大切です。
食中毒予防の3原則
食中毒は学校や飲食店で起こっている印象が多いですが、じつは家庭でも発生しています。家庭の場合は、飲食店などのように衛生マニュアルもなく自己流で管理していることもおおいですよね。
そこで、食中毒を予防するための3原則について詳しくご紹介していきます。
食中毒予防の3原則とは
細菌を…
-
- つけない
- 増やさない
- やっつける
です。
原則1:つけない
食品に菌がつかないよう常に清潔にします。
食中毒を予防するには、原因となる細菌や微生物で食品が汚染させないことが大切です。
細菌をつけないための対策は…
- こまめに手を洗う
- 食品をよく洗う
- 調理器具を洗浄・除菌・乾燥する
を徹底することです。
【シャボン玉:無添加固形石鹸】
【シャボン玉:無添加手洗い石鹸】
原則2:増やさない
食品についた菌が増えないよう、すばやく調理しすぐに食べない分は迅速に冷却します。
細菌が最も繁殖しやすい温度は20℃~50℃と言われています。夏場に食中毒が多いのは細菌が一番元気で育ちやすい季節だからです。
使用しない食品も放置せず、調理後のすぐに食べない食品はすぐに冷蔵庫に入れるなど細菌を増やさないように工夫しましょう。
原則3:やっつける
食中毒菌の多くは十分な加熱を行うと死滅します。
細菌をやっつける最も効果的な方法は「加熱」です。
細菌が死滅する目安の加熱時間は、
食品の中心温度が75℃で1分以上
(ノロウイルスは85~90℃で1分半以上)
です。
食中毒の予防は3原則のうちのひとつだけ守ってもダメです。3つ全てを守るようにしてくださいね。
まとめ
最後にここまでの内容をまとめると…
- 食中毒と食あたりは同じ意味
- 発症するまでの器官は感染した食中毒によって違う
- 症状が重症な場合は即受診する
- 症状が軽い場合は「水分補給」「安静」が基本
食中毒は重症化すると命の危険があるため注意が必要です。
何より大切なことは食中毒を起こさないように予防すること。
ご紹介した食中毒予防の3原則を実践し健康な毎日を送ってくださいね。