WBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)のバンタム級に井上尚弥選手が参戦することが決定しました。
WBSSのバンタム級にWBAから、「WBAスーパー王者のライアン・バーネット」「WBAレギュラー王者の井上尚弥」「WBA暫定王者のレイマート・ガバリョ」が参戦します。
ここで疑問が出てくると思います。
「え、WBAには3人のチャンピオンがいるの?」と。
そうなんです、なんとWBAには3人のチャンピオンが存在します。これはボクシング団体の中でもWBAのみです。
そこでここでは、「WBAのスーパー王者制度とは」「スーパー王者のレギュラー王者や暫定王者との違い」「WBAのスーパー王者制度の目的と理由」について、わかりやすくまとめてみました。
WBAのスーパー王者制度とは
スーパー王者制度は、WBAが2001年から始めた制度になります。
スーパー王者になる条件は、
- WBAのレギュラー(正規)王者が、WBC、IBF、WBOなど他のボクシング団体との統一戦の勝者となる
もしくは、
- WBAの王座を5回以上防衛する
となっています。
上記の条件を満たした場合に「スーパー王者」に認定され、レギュラー(正規)王座は空位となります。
ただし、これらの条件を満たさずに「スーパー王者」として認定されているケースもあり!
レギュラー王者や暫定王者との違い
現在のWBAボクシングのバンタム級を例に説明します。
選手名 | WBA内の位置付け | |
---|---|---|
スーパー王者 | ライアン・バーネット | WBAトップ |
レギュラー(正規)王者 | 井上尚弥 | WBAのナンバー2 |
暫定王者 | レイマート・ガバリョ | WBAのナンバー3 |
WBAランク1位 | 〇〇・〇〇 | WBAのナンバー4 |
WBAの内のランクを付けるとこのようになります。
スーパー王者>レギュラー王者>暫定王者>WBAランク1位
スーパー王者がトップで、その下にレギュラー王者、暫定王者が存在することになり、1つの団体でチャンピオンが3人という事態が起きてしまいます。
日本のボクシングコミッションでは、WBAの暫定王者を世界チャンピオンとは認定していません。さすがに、WBAのチャンピオン制度はおかしいだろうという意思表示!
そのため、日本人がWBAの暫定王者になっても世界チャンピオンとしてはカウントされません。
なぜ、WBAはこのようなスーパー王者制度を取り入れたのでしょうか?
スーパー王者制度の目的と理由
世界戦で勝った選手のプロモーターは、ボクシングの団体に「承認料」を払わないと世界チャンピオンとして認定されません。
スーパー王者制度をすることで、WBA内のチャンピオンの枠が1つ増え、結果として「承認料金」を1つ余計にもらえるわけです。
「承認料」は公表はされていませんが、高額になることは想像できます。
肩書が欲しいプロモーター(興行、スポンサーが付くなどのメリット)と「承認料」が欲しいWBAの思惑が一致する形で成立していますが、観客からすると意味がわからなくなります。
その結果、
- 「WBAチャンピオンの価値の低下」
- 「1つの団体でチャンピオンは1人だろう」
という、声が上がる様になりました。
混乱の原因は、やはり「お金」ですね!
まとめ
世界チャンピオンの数がこの60年で10人から80人以上と、8倍に増えました。
スーパー王者制度を取り入れているWBAもチャンピオンが多すぎると言われ、王者を減らす方向で動いているとのことです。
また、WBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)が新しく生まれ、団体を超えた最強を決めるトーナメントが開催されています。
もう一度、最強を目指す戦いが始まるのかもしれません。
楽しみですね!!