TPP(環太平洋経済連携協定)が2018年6月に国会で可決・成立しました。
「TPPってよく聞くけどよくわかない」「TPPは難しい」と思っている人が大半だと思います。
また、TPPは「農業のコメ問題や自動車などの関税」の話だと思っている人も多いと思いますが、実はTPPは関税だけではなく、日本の制度の根幹に関わる大きな問題を抱えています。
そこでここでは、
- TPPとは
- TPPの参加国
- TPPはいつから始まる?
- TPPのメリット・デメリット
- TPPのISDN条項の闇
- TPPアメリカ離脱の理由
について、全く知らない初心者でもわかるように、わかりやすくまとめてみました。
TPPとはわかりやすく
TPPは、Trans-Pacific-Partnership-Agreementの略で、
内容は、
- 環太平洋地域の関税を撤廃し、経済連携をしましょう
- TPPでは、制限を作らず、自由競争しましょう
というのが、表向きのTPPです。
裏のTPPは、
というもの。
これは後ほど詳しく説明します。
多くの国民が誤解していますが、TPPは関税の撤廃だけを取り扱ったものではありません。
TPPの24分野
TPPには、24の分野があります。
マスコミが騒いでいでいるのは、
- 工業
- 医療品
- 農業
この3分野の関税撤廃のみ。
ちなみに、日本がTPPに加盟したことで、「米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖」の5品目を除き、農産物のほぼ全ててが、いずれ関税ゼロになります。
実は、TPPにはこの他にも、
- 労働
- 医療
- 一時入国
- 金融
- 投資
- 環境
- 保険
- 食品検査緩和
- 税関協力
- 原産地規則
- 知的財産権
などが、含まれています。
多いのでここまでにしますが、TPPに同意するということは、もれなくこの24分野、全てについて同意したこととみなされます。
TPPの文書内容は、英字で6,300ページにも及ぶ膨大なもの。
日本でこれを翻訳し、まともに読んでいる国会議員がどれだけいるのか、心配です。
TPPの参加国(加盟国)
TPPの参加国は上の図の「米国」を除いた、
- 日本
- ベトナム
- ブルネイ
- マレーシア
- シンガポール
- オーストラリア
- ニュージーランド
- カナダ
- メキシコ
- ペルー
- チリ
の、11ヶ国になります。
TPPはいつから始まる?
TTP「11の加盟国」は共通理解として、
を目指して、それぞれの国で国会審議を通しているようです。
日本は2018年6月に、急いで成立させましたね。
TPPのメリット
関税がなくなれば、輸入する食料品が安くなり、日本製の車や工業機械、電気製品などの輸出が増えます。
メリットは、これのみ!
TPPのデメリット
デメリット1:弱肉強食の世界
加盟した11ヶ国の得意分野が活かしやすいですが、逆に言うとお互いに潰し合うとも言えます。
つまり、更に激しい弱肉強食の世界になり、他国に自国の産業を潰される可能性があるということです。
今までは国内だけの競争だったものが、多国籍企業を筆頭に11ヶ国の国々との競争になります。
デメリット2:日本の食事の崩壊
食品添加物、遺伝子組み換えの日本国内の規制が撤廃される可能性が高い。
安く外国の食料が買えるといいますが、「食品表示・遺伝子組み換え表示などがされない」ので、自分がどんなものを食べているのかわからなくなります。
デメリット3:医療・保険制度の崩壊
国民皆保険は自由貿易の障壁だということで、国民皆保険の崩壊させられる可能性が高い。
アメリカの医療制度に近くなり、盲腸手術で100万円など、金持ちしか医療を受けられない。
デメリット4:労働環境の変化
「TPP11ヶ国の労働者は、ビザ無しで自由に、就労することを可能にしなさい」と、訴えられる可能性が高い。
外国から多くの労働者が来て、自国の労働者が仕事につけないということが起こる。
では、なぜこんな無茶苦茶なことが起きるのでしょうか?
それは、TPPの中にある「ISDS条項」が関係しています。
ISDN条項とは
ISDN条項とは、企業が相手国の規制で損失・不利益を被った場合は、その国を訴えることができる条項です。
TPPの基本理念は、自由貿易、自由競争です。その自由競争を妨げるものはISDN条項で訴えて、変えさせることができる。
というもの。
TPPの条約には、「企業はその国家を訴えることができる。また、その国家の国内法に従う必要がない」「TPPの条約に従った、国内法を改正せよ」と明記されています。
TPP条約に同意=ISDN条項にも同意
このISDN条項は、TPPの基本ルールの中に最初から入っています。
つまり、TPPに加盟したということは、このISDN条項にも同意したということになります。
さらに、日本の国内法よりもTPPの条項のほうが力関係では強い。
するともはや、国内法が機能しなくなるのです。
訴える先はICSID
さらに、企業が訴える先は、ICSIDという紛争解決する国際センターなのですが、世界銀行の傘下で、多国籍企業に有利に働く判決を出す傾向が現実としてあります。
例:日本の国民皆保険
実際にISDN条項で日本の国民皆保険制度が訴えられた場合を見てみましょう。
- 「国民皆保険が外国の保険会社の参入障壁である!」
- ⇒ 多国籍企業に訴えられます。
- ⇒ 訴えられる額は、600億などという凄まじい金額
- ⇒ 裁判で負ける か 裁判費用が払えない
- ⇒ 国民皆保険制度を辞めざる負えなくなる
- ⇒ 多国籍企業の保険屋が日本中に入り込む
という流れです。
これは、日本の保険だけではなく、日本の規制全てに対して起きかねません。
また、訴えられるのは日本の企業に限らず、地方公共団体や国も訴えられる対象になっています。
もはや日本の自治は崩壊します。
ISDN条項を作ったのは誰
ISDS条項を作ったのは、ウォール街の多国籍企業の弁護士達と言われています。
つまり、
- 訴える多国籍企業
- 訴えられた国
- ISDS条項を作った多国籍企業の弁護士と闘う
という、凄まじい構図になっています。
普通に考えたら、ルールを考えた人間に、勝ち目なんてないですよね。様々な抜け道を用意してるでしょうし。
TPPアメリカ離脱の理由
アメリカのトランプ政権は、自国経済最優先の政治方針です。
TPPに入って、アメリカ優先の保護政策を、多国籍企業に訴えられたらたまったものではありません。
そのためTPPを離脱した可能性が高いです。
トランプさんは、「TPPは多国籍企業だけが儲かる仕組み」だと気づいているのだと思います。
また、アメリカ国民の7割はTPPに反対しています。
なんで日本はもっとTPPに反対しないのか不思議ですが、これは外国資本に支配された日本のマスメディアが報道しないのが最も悪い。
バラエティ報道ばかりして、真実を全く伝えません。
まとめ
もはや多国籍企業が、国を支配するほどの力を持ちつつあります。
TPPに加盟したことで、日本の国会議員よりも上に、TPP委員会がいることになります。またTPPに入ったなら、理不尽であってもTPPの条項は変えられず、守るしかありません。
わかりやすく言うと、「TPP条約が日本の憲法より上」に来てしまうということです。
世界の富の82%を、上位1%の人が独占しているという、国際NGOの報告があります。今の世界は「貧富の格差」がかつてないほど広がっています。
もう、個人が頑張るしか道がなさそうです。