2020東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの暑さ対策のために、サマータイム導入の要請が、東京オリンピック組織委員会から出ました。
サマータイムについて、アメリカなどで実施されているのを聞いたことがある人も多いと思いますが、
「そもそもサマータイムって何」
「サマータイムにすると、何がどう変わるの」
とわからない人も多いと思います。
そこでここでは、
- サマータイムとは
- サマータイムの実施国は世界でどのくらいあるのか
- サマータイムの導入期間はいつからいつまで
- サマータイムのメリット・デメリット
について、簡単にわかりやすくまとめてみました。
サマータイムとは
サマータイム(夏時間)とは、日の出が早い時期に全国の時計を1〜2時間進めて、日中の太陽を有効活用しようというという制度です。
(図:環境省)
この図のように、初春〜夏は日の出が早く4:00〜5:00には日が出ているのに、その時間に眠っているのはもったいない!
そこで、日本全体の時間を1時間早め、仕事の始まりと終わりをそれぞれ1時間早めます。
今までの仕事の始業が8:00だった人が、サマータイムも同じ8:00始業の場合、1時間進むので、実際には7時始業になるということです。
その結果、アフター5の時間が夜ではなく太陽のある明るい時間となり、様々な余暇活動ができ「より生活が楽しくなるのではないか?」と考えられています。
すべての時間が普段より1時間進むだけなので、労働時間や睡眠時間も根本的に変わりません。
アメリカでは、サマータイムとは呼ばず、デイライト・セービング・タイムと呼ばれ、「太陽光(Daylight)を有効活用(Saving)する時間制度(Time)」という意味で使われています。
サマータイムの実施国
(出展:Wikipedia Commons)
- 赤:サマータイムを実施していない国
- オレンジ:サマータイムを過去に実施したが、今は行っていない
- 青:サマータイムを実施中の国
国連加盟国193の国の中で、サマータイムを行っているのは、60ヶ国程となっています。
この図を見てよく分かるのは、サマータイムを実施したけれど取りやめた国の多さです。
【サマータイムを実施中の国】
- アメリカ合衆国
- ヨーロッパ各国(EU諸国)
- カナダ
- メキシコ
- オーストラリア
- ブラジル
- チリ
ただし、国の中で統一的にサマータイムを実施しているわけではなく、アメリカの中でも一部の州はサマータイムを取り入れておらず、オーストラリアも南東部分のみとなっています。
サマータイムで進める時間は、どの国でも1〜2時間で、3時間の所は存在しないようです。
期間はいつからいつまで
サマータイムは日の出時間によるので、実施期間は国によって変わってきます。
【アメリカ合衆国・カナダ】
- 開始は、3月の第2日曜日AM2:00〜
- 終了は、11月の第1日曜日AM2:00〜
【ヨーロッパ各国】
- 開始は、3月の最後の日曜日AM1:00〜
- 終了は、10月の最後の日曜日AM1:00〜
【ブラジル】
- 開始は、10月の第3日曜日AM0:00〜
- 終了は、2月の第3日曜日AM0:00〜
となっています。
北半球と南半球では、サマータイムが真逆になります。
日本のサマータイムの実施期間は?
実は、1948年〜1951年の4年間、日本でもアメリカのGHQ指示の元、サマータイム制度を導入していました。
しかし、国民からの不評で廃止になっています。
その時の理由は、
- 農業(漁業)生活に合わないし、労働過剰になる
- 習慣を変更されることが、嫌だ
というものでした。
では今、日本でサマータイムが行われた場合、期間はいつからいつまでになるのでしょうか?
日本の場合は、アメリカと緯度が同じで、季節の変わり目が4月と10月なので、
になると思われます。
サマータイムのメリット
メリット1:省エネ効果
気温が低い早い時間からの仕事で、冷房をそこまで使わなくなる
明るい時間に仕事を終わるので、蛍光灯などの照明節約が見込める
メリット2:交通事故の減少
通勤や通学が明るい時間になり、交通事故が減ることが予想される
メリット3:経済効果
明るうちに仕事が終わるので、多くの人が夜になるまで外をであるき、消費が増える
メリット4:余暇の拡大
仕事ばかりではなく、明るいうちに仕事が終われば、普段やらないスポーツや趣味に使う時間が増える。
などが、考えられますが、ここまでメリットを書いてきて、結構理想論だなと思います。
なぜなら、多くの人が仕事で朝から夜遅くまで仕事をしているからです。
私は以前、朝7:00〜夜23:00位まで毎日仕事をしていました。このような人は結構多いと思います。
そんなところへ、サマータイムで1時間変わったところで、どうなるのか?
結局仕事終わりでも、夜だけど…。
となるのがオチ。
もちろん、恩恵を受けられる人も多いと思うので、一方的に否定はしませんが。
デメリット
デメリット1:睡眠障害
睡眠時間が、半年ごとに1時間変わるので、睡眠障害が出る人がいる。その結果、疲れてだるくなりやすい人が出てくる。
デメリット2:時刻変更が面倒
半年ごとに、国民全員が、時計を1時間変えなければいけない。
特に時計屋は半年ごとに、時計の時間を変えなければいけないので大変!
デメリット3:人々の混乱が起きる
サマータイムを守る人と守らない人がいて、お互いの時間感覚に混乱が起きる可能性が高い。
待ち合わせの遅刻、電車や飛行機の乗り遅れが頻発する可能性が高い!
その結果、「サマータイムの6時待ち合わせね!」という確認が必要になる。
などが、考えられます。
日本で昔、サマータイムを導入した時のアンケートでも、「健康上よくない・疲れてだるい」と答えていた人が16%いました。
まとめ
日本でサマータイムが導入されると実際どうなるのかは「やってみないとわからない」、というところが本音だと思います。
自分の実感としては、半年ごとに1時間、時間が変わるのはなんだか気持ち的に嫌!
過去にサマータイムを実施して、現在はサマータイムを廃止した国が多いことから、メリットよりもデメリットの方が大きかったと判断した国が多いというのは事実です。
ただし、日本政府は消費をなんとか拡大させたいという思惑があるので、「余暇の拡大」とか言いつつ、今後サマータイムが日本に導入される可能性は捨てきれません。